それはもう既に私の興味を惹かなくなったのです。もう終わったのです。
「花嫁」において、「ガラス」において、私は以前に起こったことを思い起こさせないようなものをいつも見つけようとしてきました。
同じものを使わないという強迫観念にとりつかれていたのです。
用心しなければいけません。
知らず知らずのうちに、過去のものがはいりこんできてしまいますから。
思わず、細ごましたことに立ち入ってしまうものです。
そこでは、厳密で完全な訣別のための絶えざる戦いがあったのです。
使った要素、ガラスとかそういうものに関連する技術上の小さな問題が特に多いのですね。
それらずべてが私に念入りな作業を余儀なくさせたのです。
ー純粋に頭脳的な発明家として通っているあなたが、いつも技術上の問題に頭を悩ましていたというのも妙なことですね。
ええ。画家というのは、常に一種の職人であるという事ですからね。
ー技術的な問題以上に、あなたが取り組まれたのは、科学的な問題でしたね。
全ての絵画は、印象主義以来、スーラも含めて、反科学的なものになっています。
それで私は科学の正確で厳密な面を導入する事に興味を持ちました。そんなことはあまりやられていなかったし、少なくともたいして話題になっていませんでした。私がそれをしたのは、科学に対する愛からではありません。反対に、むしろ科学を、穏やかで軽い、取るにたらないやり方でけなすためだったのです。
でも皮肉なものです。
とデュシャンは語っています。
好きな一節です。特に職人と言っている節。
時代をつくり上げた人。
この人のせいでアートは変わってしまったのですから。
全部が全部、彼の言う事には賛同しかねますが、時代を背負うにはこのくらいの構えが必要なのではないでしょうか。
何よりも実直にインタビューに答えているのが好きです。包み隠さず。
偶然、インタビューを読んでて気がついたんですけど、前に紹介したレーモンルッセルというアーティスト。
こんな天才のデュシャンがライバル視していた唯一の人だったらしいです。こわー。
そのときには評価されなくてお金が頭の上をびゅんびゅん通っていったそうです。
新しいものには皆恐れを為しますからね。
「デュシャンは語る」・・・勇気をもらえる一冊です☆


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